頑張るメンタリティーとは
人に霊魂があるとしたら、もしかしてそれは、人形(ひとがた)をした発光体ではないか、と思っている。かくいう私は、メンタルな病を発症し、大学は出たものの、恋人をつくり家族を持つとか、一生続けるべき仕事を見つけるなど、人生の大目標を何ひとつ達成できていない。私の発光体は、手先がなかったり足先がなかったり、首の上がぼんやりと消えかけていたりと、満足な人形とはいえない格好をしているのではないか、と思うのである。
私は、物書きとなるべく修行しているところだ。還暦を間近にしての奮起であった。空想を廻らし、様々な思いを書き記し、ひいてはそのことによって、自己実現していこうと思っている。世に出ようと考えているのだ。
今もこうして机に向かっている。物を書いて思いを遂げると、発光体はその分だけ、完全な人形へと近づく。寝る間も惜しんで、原稿と向き合う毎日である。友人に、「その気持ちをどうやって保つのだ」と聞かれる。私には、はやくまともな人形を得たい、という強い思いがある。その欠乏感が、やる気の原動力となっているのである。
了
2019/03/03
小倉一純
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