理想郷

 明日は雛祭りという週末に、高校時代の同級生数名が集まった。酒と料理を用意して、わが家で酒宴を催したのである。彼らとはここ数年、年に1度は顔を合わせている。有り難いことに、費用は割り勘だ。

 彼らは所帯を構え仕事を持っている。尤も、我々も還暦となったので、そろそろ引退を考えている仲間もいる。会議ではないから、議題などはない。思いつくままに勝手な話をするのである。終われば次の話題へ移る。馬鹿話の類も多いが、それがまた楽しいのだ。

 1次障害で発達障害、2次障害に統合失調症を持つ私は現在、作家となるべく勉強中である。小説家は、中学の頃から憧れの存在だ。そんな私が一番困るのは、自分の立ち位置の認識である。恋愛をして家族をつくるとか、一生の仕事を持つ、という点において、私は失敗している。病気の影響もあり頓挫したのだ。家族の中での役割、会社や社会での立ち位置というものを、肌で感じることのない生活を送る私にとって、彼らの、発言も含めた一挙手一投足は、とても役に立つ。

 私は毎日必ず、原稿用紙で5枚は書くようにしている。腕を上げるための習作である。引き籠って物を書き、時々友達の来る私は、物を書くことを第一に考えれば、理想郷に身を置いているのかも知れない。  了


2019/03/06

小倉一純


以下は、同じことを違う切り口で描いた作品です。

近藤健 先生  

 先年、随筆春秋の近藤健先生は、30年近い東京生活を仕舞われ、故郷の町のある北海道へ戻られた。大手石油販売会社の本社を離れて、現在はその札幌支店に勤務されている。ご家庭の事情で転勤願いを出していたのだ。近藤健先生は、会社員と文筆家の二足の草鞋を履いた、日本一のサラリーマン作家である。

 一昨年縁あって、随筆春秋の同人となることを許された私は、10編近い作品を、札幌の近藤先生に添削していただいた。「よく書けています!」と寸評があるものの、原稿をめくるとそこかしこに朱が入っている。努力して勉強していくうちに、赤ペンの個所はだんだん少なくなっていき、私にとってそれが何よりの励みとなった。

 先日、近藤健先生よりこのホームページへコメントをいただいた。――機が熟し、花開く日を楽しみに待っております(その一部を抜粋)……と記されていたのである。感動!

 その近藤先生が師と仰ぐのが、随筆春秋の大御所でもある、作家の佐藤愛子先生である。

◆作品集 こんけんどうのエッセイ

(小倉一純)

私の作品集 since2016

第24回 随筆春秋賞公募 奨励賞 第13回 文芸思潮 エッセイ賞 第3次選考通過 第23回 随筆春秋賞公募 奨励賞 作文ist / さくぶニスト 小 倉 一 純

0コメント

  • 1000 / 1000